どもりだった自分を振り返る。どもりと付き合い32年

私は小学生時代からどもり(吃音)と認識していました。なぜどもりになってしまったか、ルーツは記憶にありませんが、わずかに記憶で保育園時代に、人見知りが激しく泣いてばかりいたので、先生に倉庫に閉じ込められたことがあり、これがどもりのきっかけになったのではないかと考えています。そんな私ですが、現在40歳になりました。

自分がどもりだと認識してからのこれまでの約32年間について振り返ってみます。

小学生時代

国語の授業などで音読があるととても嫌だったことを思い出します。順番に指名されて音読していくわけなのですが、どもりの私には、最初の一文字を読み上げ、音に出すのがとてもつらく、全く進みませんでした。また、出だしが良かった場合でも、途中で止まってしまうと、その後読み上げが全く進まないなど、その場から逃げ出したくなることがたくさんありました。その様子を見ていた生徒たちにからかわれるなど、終わった後も精神的に苦痛でした。

唯一の楽しみが音楽の合唱の授業でした。運動も苦手でした。(笑)音楽の合唱では、かなり高い声が自由自在に出たので、これにより、「自分にもできることがある」という支えになっていました。

何とかどもりを治したいという思いがあり、積極的に班長をやったりして、自分を追い込み、一時的に良くなることはありましたが、以前よりはよくなったと感じるものの、完全に克服できたと思えることはありませんでした。

中学生時代

小学生の時と同様に、全員の前での発表や音読などが非常に辛かったことを覚えています。中学時代も、どもりを克服するために、班長をやったり、応援団をやったりもしました。

小学生時代と変わらず、克服の実感はありませんでした。

高校時代

小学校、中学校、高校の中では、一番どもりの症状が安定した時期だったと思います。大学受験のために、勉強に集中できていたからかもしれません。それでも、どもりを克服できたという感覚はありませんでした。

大学時代

実家を出て一人暮らしをするようになり、水道や電気、ガスの手続きのために、電話することが必要でした。電話でもどもってしまい、苦い思いをした経験があります。電話の向こうの相手がわからないと不安で、さらに緊張も増し、どもりの症状が激しくなりました。

大学3年で始めた就職活動で、どもりの症状が嫌になるくらいでました。これで就職できるのか。途方にくれました。同じ面接者には馬鹿にされたような気がして、いてもたってもいられなくなる思いでした。何とか面接を乗り越えて内定はもらえたものの、これからの社会人生活についていけるか、心配を抱えていました。

講義ではあまり発表の場はなかったため、大学生活では目立った症状が出ることはありませんでしたが、卒業研究の発表があり、その練習ではどもりの症状が出て、つらい思いをしました。本番は研究室の最後の発表者だったせいか、緊張していたもののどもりの症状は出ませんでした。

社会人になってから

学生時代に内定をもらった会社に入り、1年目はこれまでの人生で一番つらい1年でした。

新入社員でかなり緊張していました。先輩社員とあいさつを交わすだけでもどもってしまい、まるで挨拶を無視しているような、そんな態度になってしまい、罪悪感に苛まれました。新入社員研修での電話応対研修、名刺交換なども、言葉がなかなか出ずに、相手の方に迷惑をかけたことと思います。

オフィスでの外線電話の応答でも一言目が出ずに、相手に電話を切られてしまったことが何度もあり、これでも罪悪感がひどく、心を痛めしました。死んだほうがましかもしれないと、死を考えることもありました。

仕事はシステム開発でしたが、そんな不安定な精神状態もあってか、仕事にも集中できず期日を守れず残業したりと、仕事面でも落ち込むことがたくさんありました。

そんな状態だった私が、暗い社会人生活をなんとか乗り越えることができたのは、2年目にお客さんの会社に出向することになり、それが私の暗かった人生を変えてくれました。精肉部門が主力のスーパーの情報システム部です。人員は2名と少なく、日々の業務に追われている印象を受けました。とても親切な方たちで、すぐに信頼関係を築くことができ、職場にもなじみ、仕事も楽しくなりました。外線電話の電話応対などもなく、ストレスは少なかったので、精神状態もかなり安定してきました。

他人から認めてもらうこと、人生で初めて経験したことかもしれません。これがきっかけで、徐々にどもりから解放されていったと思っています。24歳のころのことでした。出向は終わりましたが、その出向先に転職することにしました。その後3年程度で退職し、別の会社に転職しました。

転職時も学生時代のように、面接で緊張してどもったなどということはありませんでした。さらに社会人生活を重ね、電話にも落ち着いて出れるようになり、どもりが原因で社会生活で困ることはなくなりました。

自分のどもり人生を振り返ってみて

社会人時代は、どもりを治すためにカウンセリングを受けようかと、あがり症の新聞広告をみて真剣に考えたこともありました。でも、そういうのに頼っても結局うまくいかなかっただろうなと思います。

どもりと付き合ってきて30年以上経過した私ですが、どもりは悪いことではないと思います。どもりになった人にはそれぞれのきっかけがあると思いますので、一様にしていえることではありませんが、そんな自分を許してあげることが、一番の解決策だと思っています。「どもりだけど何が悪いんですか?」ぐらいの気持ちですね。どもりであろうとなかろうと、一人一人の大切な命で、立派な人間です。どもりで押しつぶされそうになったら、どうか、私に連絡ください。お話聞きます。コメント欄からコメントください。